父親が大動物専門の獣医師だったので、獣医師の仕事は小さいころから身近なものでした。継げと言われたことは1度もなかったのですが、自然に獣医師になりたいと考えていました。

ちょっと気恥ずかしいのですが、獣医師を目指したのは、この職業には根底に博愛や福祉という志があると感じたからです。その頃はまだ動物病院も少なく、夜中など時間によっては誰にも診察してもらえずにかけがえのない命を失っていく動物たちがいました。自分が獣医師となることで、そうした動物たちや、突然家族を失う飼い主さんを少しでも減らしたいと、最初から動物病院の獣医師になりたいと考えていました。

地域に密着した動物医療を提供するためには、かたよりなくオールマイティに診療することが重要だと当院では考えています。専門性に特化してしまうと、どうしてもそれ以外の部分で見落としをする可能性が高くなります。かかりつけ医の重要な役割は、できるだけ見落としなく、そのコの状態を把握すること。そのためにはしっかり動物と向き合って、トータルに診療することが不可欠です。当院では、診療対象をワンちゃんとネコちゃんだけに限定することで、よりご信頼いただける動物医療を提供しています。
そのコのすべてを診療することで、飼い主さんに余計なご不安もなくなります。実は、飼い主さんがほっと安心することは動物たちにもとてもよい影響を与えます。当院ではじっくりお話をうかがって、わかりやすくご説明し、飼い主さんが納得できる診療を行います。

河田動物病院は開業から今年で28年になります。地域の方にご信頼をいただいたおかげで、こうした長い歴史を積み重ねることができたのだと思っています。地域の方と長くお付き合いができるようになったのは、動物看護士をはじめとするスタッフの力によるものも大きいと思っています。当院のスタッフは10年以上勤務しているベテランが多く、飼い主さんにとって大事なご家族の一員であるワンちゃんやネコちゃんをきめ細かくお世話し、飼い主さんが安心できるよう心を込めてお話させていただくという基本を特に重視しています。ワンちゃんやネコちゃん、そして飼い主さんと心を通わせ、信頼関係を築くことが、質の高い医療を提供するための第一歩だと考えているからです。今後も引き続き地域の方にご信頼いただくために、一層の努力をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

当院には、ワンちゃんやネコちゃんのカルテが1万9千枚以上あります。これまで診察した症例数は1万９千件。毎日の来院数は少ない時で20頭ほど、多い時には100頭を超えます。言葉の通じない動物医療では、そのコの個性に合わせた診療がより効果を発揮します。当院ではさまざまな症例について、それぞれ個性の違うワンちゃんやネコちゃんを診療してきた経験がありますので、治療や予防に関してそれだけ幅広い診療やアドバイスを行うことができます。また、一般的に多い病気だけでなく、珍しい症例もかなりの数の診療を行ってきています。こうした蓄積で培われたスキルや知識を活かして、見落としのない診療を心がけています。